「映画・書籍装丁に見るロゴマーク」の第10回です。前回は、ハリウッドの名作SF映画「ブレードランナー」の装丁についてお話し致しました。
今回も、映画作品パッケージの装丁についてのお話です。
今回ご紹介する映画装丁は、「犬神家の一族」です。前回の「ブレードランナー」もそうでしたが、名作映画というのは複数のバージョン違いが製作され、パッケージ装丁のデザインも何種類か見られることがあります。
上の画像は、初期の頃に販売されたものの装丁です。LDで出されたものですね。
DVDの初盤になると、また違った装丁が見られます。
さて、上の装丁デザインですが。
ご存知の方も居ると思いますが、角川文庫から出版された文庫本の装丁とリンクしているデザインになっています。映画の販促として、そのようなデザイン統一戦略がとられたのでしょう。
下半分を占める朱色と、その前面に押し出された無表情な着物の女性が和製ホラーらしいじっとりとした恐怖感を演出しています。
上下左右の位置を大胆にずらしたロゴタイプも、作品内容の波乱を予感させますね。
因みに、この装丁のイラストは杉本一文氏によるもの。
杉本氏は、角川文庫から出版されている金田一耕助シリーズの装丁を手掛けるほか、半村良氏のSF作品の装丁などもデザインしています。
映画で使われたタイポグラフィー。
これでもかとギュンギュンに文字間(カーニング)を詰めて、余裕のない、何か起こりそうなおどろおどろしい感じが出ていますね。
金田一耕助シリーズは何回も映像化されていますが、この1976年の犬神家とそのシリーズでは、オープニングの出演者のクレジット表現が鼻血が出るほどかっこいいことでも有名です。エヴァンゲリオンにも影響を与えたとか。