まるで、バッドマンのようです。こんな家紋もあるのですね。
この家紋の名称は、ずばりそのまま「蝙蝠」と言います。上に挙げたのは、その中でも「光琳蝙蝠」と呼ばれている種類の家紋です。
蝙蝠といったら何となく不気味なイメージで、死や不幸を招くとして忌み嫌われがちです。
が、それは西洋での話。
実は、中国では蝙蝠のイメージは真逆なものなのです。
中国では、「蝙蝠」と書いて「へんぷく」と読みます。その「蝠=ぷく」が「福」と同音のため、幸運を招くとされました。また、蝙蝠を食べると万歳の寿命を得るとも言われました。
日本における蝙蝠の家紋は、こういった瑞祥にあやかったものであると考えられます。
現在では、カステラの販売で有名な福砂屋の屋号に、蝙蝠を模ったシンボルを見ることが出来ます。
縁起が良いと考えられていた蝙蝠ですが、歴史的に見て、家紋のデザインとしての使用例は多くありません。
資料で確認できるのは、山本家の家紋ただひとつだけです。それも、どの蝙蝠紋を使ったかまでは判然としていません。
山本家というのは、張旭という中国唐代の書家の後裔が帰化した氏族であると言われています。
やはり、中国での蝙蝠に対するイメージは一味違うということなのでしょうか。